MRIC 1月5日 「医療改革国民会議」

健康医療市民会議 http://www.kisk.jp/
構想日本 http://www.kosonippon.org/

「医療改革の国技館」として「医療改革国民会議」の創設を提唱する
健康医療市民会議代表 梶原 拓

2010年1月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 

我々「健康医療市民会議」(代表・梶原拓)は、「医療改革懇談会」(座長・大竹美喜)および「構想日本」(代表・加藤秀樹)とともに、自民党細田幹事長、保利政調会長民主党・直嶋政調会長、鈴木副会長、公明党・福島政審副会長、国民新党・自見政審副会長など主要政党・政府政策責任者に対し平成21年6月、「抜本的医療改革断行」の提言をしました。また全国知事会全国市長会全国町村会にも協力を求めました。
<これが医療費削減の基本>
 1 病気にならないこと
 2 最適の治療法を選べること
 3 最適の治療法を実践できること
 4 患者・市民の人権が尊重されること
 5 患者・市民も責任を負うこと

医療政策の基本は「患者を減らすこと」で、医療の原点に回帰し予防・未病対策を徹底すべきです。これまで日本はなぜか米国連邦議会マクバガン・レポートのごとく「医食同源」日常の食事のあり方など自然治癒力を維持・向上させる方策を軽視してきました。また発病防止の自己努力と医療費の自己負担を連動させることも一案です。

医療費削減の基本を5つ項目として挙げている。
1 病気にならないこと
これは的を得ている。予防医学もこれを目標としている。
2、3 最適の治療法を選べる、最適の治療法を実践できること
これは大事だが、医療費削減かはわからない。
今後難病の治療、がんの個別化医療が進む中で、分子標的薬・抗体医薬どれも高い。慢性骨髄性白血病の最適な治療はImatinibだが、IFNよりも高いはず。医療費削減と最適な治療は相反するところに、問題があるのではないか。

4 患者・市民の人権が尊重されること
5 患者・市民も責任を負うこと
4,5は納得がいくが、患者・市民の責任ってどんなものか?中途半端な責任の話は混乱を招くだけだが、今の日本できちんと患者・市民の責任を語れる人がいるか?いるなら誰か?しっかり発信して欲しいと思う。

病気になったら幅広い治療の選択肢を用意し、早く治すことです。西洋医学でも東洋医学でも、保健診療でも自由診療でも、科学的エビデンスでも体験的エビデンスでも、患者にとっては「治ればすべていい」のです。「統合医療」とか「総合医療」は患者・市民にとって「当たり前」のことです。しかしながら医療サービス供給側の各種制約で治療の選択肢が狭められ病気が長引き治らず患者が減らないのが現状です。患者・市民にとって「理想の医療」とは
1 必ず治る 
2 早く治る 
3 痛くない 
4 副作用がない 
5 お金かからない
の5点に尽きるのです。
 医療現場・臨床の医師不足解消は急務です。医師の増員と待遇改善は、業種間の格差の問題以前に、<尊敬され・魅力ある職業として医師を確保する>視点で取り組むべきです。コメディカルなど人的医療資源を既得権益にこだわらず各種障壁・垣根をこえて総動員すべきです。
 患者の人権が尊重されるには、<目で見え、耳で聞こえ、声が届く>開かれた医療に変えるべきです。医療の最大の当事者は患者・市民です。医療改革には、公開の議論の場「国民会議」(医療改革の国技館)が必要不可欠です。当事者の協力があってこそ医療改革は成功します。「医療費の抑制」も国民は自分自身の課題として協力できるでしょう。 患者・市民も医療について責任を自覚すべきです。医療は「公共財」です。患者・市民みんなでも護るべきもので私物化は許されません。「コンビニ受診」や「モンスターペイシェント」の排除はもちろん外国の例にあるように救急車の有料化も一案です。一方では、少数派の難病対策等に注力し「自己責任」と「弱者保護」が併行しなければなりません。

誰だって、理想の医療ができれば文句はない。おそらく現場の医者が一番そう考えるだろうが。
でも
1、2 必ず治るなんてあるのか?そんなものはないと思うほうが大事なのではないか?風邪をひいてしばらくすると治る、レベルだったらまだいいが、悪性度の高い癌になってそれでも「必ず」を求められるのか。理想なのは「あくまで理想」であって現実が異なることをしっかりと見ているのか?
3 痛くないって。。もちろん侵襲性の低いものから順番にやるわけですが。
4 副作用がない薬は原理的に存在しないことはもっと医療サイドも発信すべきなのかもしれない。
5 何かサービスを受ける場合は絶対にお金がかかるのは間違いなくて、この文面の1〜4と5は相反する、両立し得ないことも理解しているのだろうか?いいものには絶対にお金がかかる。自分が払わないなら国が払う。この理想は現実とギャップがあることをきっちり見ることが大切だと思う。


「医者になってどうする!」より
p.28

どんなに素晴らしい医療がなされたとしても、「普通以上」の状態にはけっして、してあげられないのが医療である。最高の結果が得られても「普通」止まりであり、多くは、後遺症や生活の制限が残ったりして、「普通以下」までにしか戻すことができない。そこが通常のサービス業との決定的な違いである。

p.47

一方、医師は、医療はとても危険なものであり、限界があると思っている。同じ医療を行ったとしても、患者の背景や体質、治療への反応性も違い、同じ結果が得られることのない、とても不確定で不確実な行為だと感じている。もちろん、患者に対し最善を尽くそうと考えているだろうが。適切な治療をしたとしても完全に治っていく患者はごく一部だと思っている。100%安全な医療などありえ得ない。それどころか、手術などの多くの医療行為は、結果的に患者に傷害をもたらすことが少なくないと感じている。患者やその家族の中には、「人は皆死ぬ、しかも時々は原因がわからず急死したり、手
を尽くても若くして死んだりすることもある」ということをイメージできない人がいる。医療者が、たとえ万全を尽くしたとしても不満を持ち、さらに少数は攻撃的になり、医師や看護師を責めたてる。このようなとき。医師は大変疲れ、傷つき。絶望する。