医師になってどうする!

から抜粋
p.178

訴訟のリスクや激務を避ける傾向にある若手医師たちは、余裕の持てる病院や診療科に移動し始めている。若い医師に尋ねると、はっきり「プライベートあっての仕事ですね」と言う。彼らの言い分は以下である。
「医師は患者を幸福にするとともに自分も幸福でなければならない。生活を無視した現行の忙しい診療科に行けば自分が不幸になり、家族も不幸になる。過労で倒れたり、時には死んでしまったりする。激務で体を壊すより、週休二日の快適な労働環境で定年まで勤め上げたほうが、結果的により多くの患者を診察することができる。医師・患者双方が笑顔で語り合える社会を作るためには、多忙であってはならない。自分の生活を確保できる科に専攻していく必要がある。定時で診療を終えることは。楽をしていることではなく普通のことである。それを怠慢だと非難する社会や医師の世界自体がそもそもおかしい。自分を愛せない者は他人を愛することはできない。」
また彼らは「医師の犠牲によってしか医療を保つことができず、忙しいことを美徳とする医師がまだまだ多く、医師の待遇が変わるなどということはあと10年は考えられるない。」と指摘する。