ワクチンを無駄にしないで打つ方法

ワクチン動員体勢を整えること
 現場を引退した医師、休職中の医師、アルバイト募集をかけてでもいいから、「日常の診療行為の場」をインフルエンザワクチン接種で圧迫しないような工夫が必要だ。
 普段は警察が対応するが、おおごとが起きるとFBIが出動して現場を指導するみたく、
感染症についても「普段は診療所レベルでの対応、すごく流行りだしたから急いでワクチンを打たなきゃいけないような場合は、感染症センターのスタッフとかが医師や診療所のとりまとめをする」みたくできないものか??

新型インフルワクチン接種は、学校と保健所で集団接種として行えないものか


長尾クリニック(尼崎市) 長尾和宏
         2009年11月7日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
                 http://medg.jp


 10月19日から医療従事者への新型インフルワクチン接種が開始されました。しかし卸しでの厳しい配給規制がかかっているようで、11月3日現在、当院での医療従事者への接種状況は希望者のまだ3割程度です。多くの感染症を診ている急病診療所や病院での接種現状も同様に半数にもほど遠い現状と聞きます。そんな中、11月2日より妊婦さんへの接種も開始されましたが、末端開業医には、今後のワクチン入荷予定に関する情報は皆無と言っていい状況です。医療従事者への配給もままならぬ中、優先接種に掲げられている患者さんからは接種予約の問い合わせが後をたちません。ワクチン騒動にどう対応すべきか現場は大変困惑しています。

 新型インフル診療と並行して行う季節性インフルワクチン接種をほぼ終えた現在、今後の新型インフルワクチン接種の場所に関して、2つの極めて素朴な提言を行います。


【学校で打てないものか】

 新型インフル感染者が小児に多く、中年以降には少ないことが判明しつつある現在、小学校での集団接種を検討すべきではないでしょうか。さらに中学校や幼稚園も含めた学校保健の枠組での接種がどう考えても合理的であると思われます。また新型インフル既感染者や、みなし既感染者(簡易キット陰性ないし未施行者)の取扱いについては専門家に早急に意見を求めるべきです。


【保健所で打てないものか】

MRICvol 291において神戸大学の岩田健太郎教授が、またvol 314において
厚生労働省木村盛世氏がすでに述べられているように、新型インフルワクチン接種のefficacyについては不明です。しかし公衆衛生の見地から、国を挙げてワクチン接種を行うと一旦決定したからには、効率的、戦略的に行うべきです。しかし肝心のワクチン供給もままならぬ中、開業医において通常診療とインフル診療に並行してこの作業を行うのは困難かつ非効率的です。トリアージ説明だけでも結構大変です。この際、一般対象者の接種は一括して地域の保健所で行うべきではないでしょうか。かかりつけ医では「優先患者該当」に丸をするだけにすべきです。
 
 10mlバイアルはどう見ても集団接種を想定しているとしか思えません。学校保健には学校医として開業医が出務しますし、保健所にも地域医師会から分担して応援医師を派遣すれば充分可能だと思います。新型インフル接種には、個別接種より集団接種で対応した方が、医療現場の混乱を回避でき、副作用のサーベイランスの観点からも有益性が高いと思われます。是非、行政には早急な検討、決断をお願いいたします。