キーワードで理解するシグナル伝達イラストマップ

 羊土社 2004年8月5日 第1刷
山本雅、仙波憲太郎

p.84より
oncogene
なんだか意味がわかったようなわかってないようなで今まで、少し混乱していたが、そもそも定義があいまいらしい。

onocogeneとはガンの素因となりうる遺伝子を意味する。ただし、発ガンが多くの遺伝子変異の蓄積による疾病であることから容易に推察されるように、この意味は極めてあいまいであり、すべての遺伝子をoncogeneであるか否かを明確に分かるものではない。例えば、増殖を促進する遺伝子はすべて癌遺伝子であり、反対にアポトーシスを誘導する遺伝子はすべて癌抑制遺伝子と言い張ることも、その意義は別として、不可能ではない、しかしながら、一般には、何らかの変異によってある遺伝子に有意に高い発ガン能が付与された場合にその遺伝子を癌遺伝子と呼ぶ。

1)tyrosine kinase(Bcr-Abl)
2)non-protein kinase(Ras,PI3K)
3)serine/threonine kinase(Akt,CDK4)
4)transcription factor(Myc)

癌遺伝子産物Ras,Rafの下流で重要なErkは活性化により核内へ移行し、TCF(ternary complex factor)のリン酸化を介して増殖シグナルに対する初期応答遺伝子群の転写を誘導する。

癌遺伝子産物Artは転写因子FKHRの抑制やβカテニンの活性化(分解阻害)を介して増殖シグナルを伝達する。

癌抑制分子であるAPCはGSK3を介してβカテニンの分解を促進する。

Mycは休止期には発現せず、増殖シグナルがあるとき発現し、Erkによりリン酸化依存的に安定されるらしい。


※c-mycはiPS細胞を作る際に体細胞を初期化する4つの因子の1つだった。最近はc-mycなしでもできるらしい。

tumor supressor gene
1)p53
2)RB retinoblastomaから見つかった
3)APC adenomatous polyposis coliから見つかった