政治家がやるべきこと

「医療サービスの低下を容認せよ 予算投入のみでは解決しない問題がある


全国医師連盟 運営委員会議長
財団医療法人 中村病院 外科部長 
太田信次
2010年2月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


医療に関しては、アクセス、コスト、クオリティーが並び立たないのは自明

のことです。今回の診療報酬の改定に当たり、総医療費が殆ど増額されなかったということは、アクセスかクオリティーのどちらか、あるいはその両方を犠牲にしなさいと命じられたことを意味します。従って、中医協としては、専門的観点に基づき、少ない予算のなかでの配分を決定する際に、国民に対して「出来ないことは出来ない」と犠牲となる部分を明確に説明することが重要です。

現実的に今後の医療提供体制を考える上で、アクセスを重視するのかクオリ

ティーを重視するのかを明らかにする必要があります。現場の医師の意見としては、クオリティーを重視するものが多いと予想されます。また、急性期病院が集約化されれば、必然的に距離的なアクセス制限がかかります。アクセス制限を導入すれば、必ず不利益を被る方々が出てきますが、これは、医療を持続可能とするために必要な社会的コストであると考えます。

  多くの急性期病院の医師は、給与の増額ではなく、人間らしい生活が出

来る勤務体系を望んでいると思います。そしてそれが実現に向かわなければ、医療は持続可能な産業としてもはや成り立たないでしょう。

 この厳しい現状を踏まえて、何らかのアクセス制限や、クオリティーの低

下を国民に覚悟していただく必要があることを、中医協は明らかにしていただきたい。特に、中医協の支払い側の委員の先生方は、診療報酬増額に同意できない社会情勢であるのであれば、「医療サービスの低下を受け入れよ」ということを表明していただきたいと思います。

http://www.doctor2007.com/nikai.html
のように政治家が、「できないやつ(=二階元大臣にしてみれば医師)が悪いんだよ」と言う。なんだかんだ言っても「茶の間」は「偉い」大臣もそう言ってるし、「医師がだらしないせいだ」という話に意味もわからず同調してしまう。医師はできて当然でないと自分が不安になるからだ。でも間違いなく生きている日本は不安でいっぱいの国でしかない。「国民の声」なるものをいくら丁寧にアンケート調査をしたところで、解決策なんて見えてこない。政治家は「アンケート調査」で拾える「国民の声」よりも優れた能力、解決策であったり現実をみる力であったり、があるから政治家なのではないか。