医療の現場とそのお金

12月22日MRICを読んだ。
わかりにくい言葉でしか説明できていないものが多いなか、結局今の財務省がやっていることはこういうことなんだよ!っと言っている素晴らしく歯切れのよい文章だと思った。

本来は

国のお金を動かす=お金を出してくれる人たち(=国民)のためによりよいお金の使い方をする

はずなのに、

国のお金を動かす=「無駄」を減らして、できるだけ使わないようにする

ようになっている。

医療は無駄だとみんなが思っていると仮定するなら、現状は納得のいく話だが。

国民=できるだけお金を払いたくないけれど、困った時は助けて欲しい

医療サイド=これ以上お金が減らされるならやってられない

という状況をみて、財布のヒモを預かる者がしなくてはいけないことは何だろう?

払いたくないのはしょうがないけど、助かるには払わなきゃしょうがない事実を誰が説明するのか?
医療サイドがその説明をしなくてはいけない状況は、自由診療の世界ではないのか?自由診療でなんでもやる、金持ちだけよい医療を受けられるシステムにするなら、それもありなのかもしれないが。
誰が今の国民皆保険を望んで、制度として続けているのか?ボーっとしていても医療の状況が恵まれている、恵まれすぎている状況が、感覚を麻痺させたのかもしれない。


 財務省の思うがままに進む医療費削減
  「医療崩壊の阻止に回す金はない」とはっきり言ったらどうか
  武蔵浦和メディカルセンター
  ただともひろ胃腸科肛門科
     多田 智裕
         2009年12月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
より抜粋

行政刷新会議の仕分け議論を巡っては、日本科学未来館毛利衛館長が予算を確保するためにフリップを使って一生懸命説明したり、ノーベル賞受賞者たちが一堂に会して科学技術予算の削減に反対する記者会見を開いたりしていました。
 予算を使う当事者が、予算の出資者である国民の前に出てきて、予算の必要性を説明するなんて、これまではあり得なかったことです。
これからは、必要なものは必要であるとはっきり主張して勝ち取らなければいけないのかもしれません。

医療崩壊阻止に出せる金はない」?
 「歴史に裁かれる」とまで言うと、少しきつい言い方かもしれませんが、偏ったデータを根拠にこれ以上医療費を削減したら、未来は絶対に明るいものにはなりません。
 医師としてはっきり言いますが、「医療費を削減してもサービスを維持できる」ということはあり得ません。
 皆さんの会社を思い浮かべてください。業績が悪くなれば給料が下がるのは、確かによくあることかもしれません。しかし、大幅に賃金カットされれば、社員のモチベーションに大きく響きますし、何よりも優秀な社員から真っ先に辞めて、いなくなっていくことでしょう。

 「医療崩壊の阻止に出せる金はない」──。財務省の理屈は、まるでそう言っているように思えてならないのです。