時間外労働と労働基準法

ある本を読んでいて、
2006年 産婦人科医 当直 奈良
の検索キーワードで調べてみたくなった。
奈良県産婦人科医が当直に対して賃金が支払われなかった件である。
2006年に告訴、2009年に支払い命令が出されたことがわかった。
これからなる人に夢を持ってもらうことと現実を知ってもらうこと。現実を知ってもらうのは難しい。
「日本は先進国ですが、医師は労働基準法適応外に現実的にはなっていて、いっぱいただ働きをする職業です。」ということを知って医学部に入った学生はどれくらいいるのか?夜でも必要とされれば飛んでいく。それが医者であるということに疑問はいだかないが、それがタダであることには疑問をいだく。

http://www.asahi.com/special/obstetrician/OSK200612090043.html

県立奈良病院の産科医2人、県を提訴 激務改善求め
2006年12月09日

 過酷な労働に見合う時間外手当が支給されていないとして、奈良県奈良病院奈良市)の産婦人科医2人が04、05年の同手当の未払い分にあたる計約9200万円の支払いを求める訴訟を、奈良地裁に起こしたことがわかった。奈良県の場合、深刻な医師不足で業務が増えているにもかかわらず、宿直時の手当が一律で、病院関連予算の抑制も目立つ。原告側は「手当の支給よりもむしろ、訴訟を通じて、県に労働環境の改善を促したい」と訴えている。

 訴状によると、同県では、勤務医の宿直手当が1回2万円の一律支給となっている。救急患者が搬送された場合などに病院に呼び出される自宅待機(宅直)には、手当が支払われない。

 特に同病院の産科医は、夜間でも分娩(ぶんべん)や手術などが頻繁にあり、宿直業務が労働基準法で規定された時間外労働にあたると指摘。宅直についても「労働からの解放」が保障されておらず、勤務時間とみなすべきで、県の手当支給は違法と主張している。医師2人は当直が2年間に155日と158日、宅直が120日と126日にのぼっており、未払いとなっている時間外手当を計9233万円と算定した。

 原告側弁護士は「労働基準法を無視した労働実態だ。十分なスタッフをそろえて医療事故を防ぐことが、結果的に市民の利益や手当の抑制にもつながる」と話す。

 2人は5月、同僚の産科医3人とともに、同手当の未払い分として計約1億円を請求する申入書を県に提出。その後の交渉で改善策が示されなかったとして、提訴に踏み切った。県の担当者は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042201000830.html

産科医当直は「労働時間」 奈良、県に割増賃金支払い命令
 県立奈良病院奈良市)の産科医2人が、2004年、05年の当直勤務の時間外割増賃金など計約9200万円の支払いを県に求めた訴訟の判決で、奈良地裁(坂倉充信裁判長、異動のため一谷好文裁判長代読)は22日、当直を時間外労働と認め、計約1500万円の支払いを命じた。

 奈良県は当直1回につき2万円の手当を払うのみだった。弁護士によると、医師の当直が労働時間に当たるかどうか争われた訴訟は初めて。当直に定額手当しか支払わない例は全国にあり、ほかの病院にも影響を与えそうだ。

 判決は「産科医は待機時間も労働から離れていたとは言えず、当直開始から終了まで病院の指揮下にあった」と指摘。当直は労働基準法上の時間外労働に当たり、割増賃金支払いの対象になるとして「現実に診療をした時間だけが労働時間」とする県側主張を退けた。

 判決によると、産科医2人は04−05年にかけてそれぞれ約200回、夜間、休日に当直勤務をした。その際、分娩に立ち会うことも多く、異常分娩の時に診療行為をすることもあった。さらに病院での宿直時は睡眠時間を10分取ることは難しく、当直中はポケベルを携帯し、呼び出しに速やかに応じることを義務付けられていた。

 判決は時効となった04年10月以前を除いた分について、手当を支払うよう命じた。

2009/04/23 01:24 【共同通信