科学にお金が来ない!?

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091125-OYT1T00739.htm

「歴史の法廷に立てるか」野依さん仕分け批判


自民党本部で説明する野依・理化学研究所理事長 「科学をコストでとらえるのはあまりに不見識」――。

 政府の行政刷新会議による「事業仕分け」で、次世代スーパーコンピュータースパコン)の開発が「事実上の凍結」となるなど科学技術への厳しい判定が相次ぐ中、ノーベル賞受賞者の一人で理化学研究所理事長の野依良治さん(71)が25日午前、自民党本部での会合で判定の再考を訴えた。ほかの同賞受賞者らも同日夜、野依さんと緊急声明を発表する。若手の研究者グループもこの日、仕分けの現場を見学に訪れ、「このままでは日本の将来は危うい」と強調した。

 2001年にノーベル化学賞を受賞した野依さんがトップを務める理化学研究所スパコンの開発主体。民主党の国会議員や民間人の「仕分け人」は今月13日、スパコン開発のための補助金267億5900万円が「効果が国民に見えない」などとして、「限りなく予算計上見送りに近い削減」と判定した。

 これについて、25日朝、自民党文部科学部会などの合同会議に講師として招かれた野依さんは「先進各国がオリンピックと同じように国の威信をかけてスパコンの開発にしのぎを削っている。いったん凍結すれば瞬く間に他国に追い抜かれる」と説明した上で、「凍結を主張する方々は、将来、歴史という法廷に立つ覚悟ができているのか」と痛烈な批判を展開した。

 若手研究者の育成や地域科学振興などの事業でも、予算縮減や廃止の方針が次々に打ち出されており、野依さんは、「科学技術は我が国の生命線。短期的な費用対効果ではなく、将来への投資と考えるべきだ」と指摘。「科学にムダはつきものか?」という自民党議員の質問には「うまく行かないこともたくさんあるが、先進国の平均寿命も、科学技術がなければこんなに伸びなかった」と強調した。

 野依さんは同日夜、ノーベル賞受賞者江崎玲於奈利根川進小林誠の各氏と、数学界のノーベル賞といわれる「フィールズ賞」受賞者の森重文氏の5人で科学技術予算削減に対する緊急声明を発表する予定だ。

(2009年11月25日14時39分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091125-OYT1T00688.htm

政府の行政刷新会議の「事業仕分け」では、中型ロケット「GXロケット」開発計画を「廃止」と判定するなど宇宙開発分野でも厳しい対応が続いている。

(2009年11月25日14時02分 読売新聞)

もっと科学者は、過去の「無駄に見える」研究の積み重ねが、大きなものを生むことをわかりやすく訴える必要がある。
iPS細胞だって、論文に書かれている分子生物学的手法とかは理解が難しいものでは全然ない。培養の仕方、遺伝子導入の方法、ES細胞の研究からわかってきた転写因子。「おいしいところ」を集めて(集めるにも能力・労力ともにいるが)やっとiPS細胞みやいなものができる。iPS細胞だって「すぐ治療にいきる」わけでもなんでもなく、初めて成功してから2年くらい何が起きたかといえば、「違う細胞を使ってもiPSできました」とかいうのばかりである。それが無駄だと言いたいわけでは全然なく、新しいものを得て次の新しいものを生みだしていくには、地道にやれることをやるしかないわけで、科学はそれをいろんな場所でいろんな人が知恵を絞ってやっと徐々に進めるという状況なのだ。
ピラミッドの一番上にiPSみたいなものがあるとすれば、そのしたにはその何倍、何百倍もの研究(=論文として出された結果)がある。
どうやったらこの事情が伝わるのか?ゲノムが全部わかった、新しい技術でたんぱく質全体、代謝全体がようやく見えてきた。でもわからないことがいっぱいあって、これからどうする?というニュアンスを伝えなければならない。そんなに甘くない、科学の事情をどう伝えればよいか?あまりにお手軽なものに囲まれている人たちには伝わらないのか?どうすればよいのだろう?