high risk, localized prostate cancerの治療

http://www.urol.or.jp/iryo/guideline/guideline.html

EBMに基づいた前立腺癌診療ガイドライン2006年版【808KB】<<日本泌尿器科学会雑誌Vol.98 No.3に掲載>>

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②T1b-c,T2 N0,M0,Gleason≧7,PSA≦20ngml
Gleason8 以上の限局性前立腺癌に対してPSA 監視療法は不適である.期待余命が10〜15 年以上望める場合には根治療法(前立腺全摘除術,放射線療法)を考慮した方がよい.ただし低分化型局所前立腺癌において根治療法が生存率に関し有意に良好であることを示した論文はない.




8.外科治療と放射線治療の比較
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今まで述べてきたように限局性前立腺癌に対しては根治療法として前立腺全摘除術と放射線治療の二つが存在し,その優劣が問題となる.それぞれの治療法についてはたくさんの論文が存在するため,比較検討が今までにされてきたが患者背景が異るうえに評価の方法(PSA failure ひとつをとっても治療法間での定義はまったく異る)もまちまちであり多大な労力をつぎ込んだが結論は得られなかった.また前立腺癌は生物学的な悪性度がそれほど高くないこと,局所療法がうまくいかなかった場合でも後に内分泌療法が施行できることなどから全生存率で比較するには10 年以上の経過観察が必要であることも両者の優劣をつけがたい一因である.真の意味での優劣を比較するには大規模なRCT で全生存率をエンドポイントとした長期にわたる観察が必要であ
るが,現状を考えるとこのようなRCT は非現実的でありまた結果の妥当性についても疑問が残る.また海外でこの点について結論が出たとしてもその結果が我々日本人にそのままあてはめることができるかどうかという問題もある.照射技術が発達していない時代においては照射線量は60〜70Gy が主体をしめておりこの時代においては局所前立腺癌に対する治療成績は外科治療の方が予後は有意に良好であった.前述したごとく照射技術の発達に伴い70Gy 以上の照射が可能である近年の外照射,あるいは内照射療法の成績は手術療法とほぼ同等と言われている.ただ手術療法後のPSA failure に対し放射線療法を適応できるが放射線療法後のPSA failure に対し手術療法を選ぶのは困難である.放射線治療と手術療法のどちらを選択するかはむしろ副作用の問題が多くなる.手術療法においては尿失禁と性機能障害が問題となり,放射線療法では直腸障害,排尿障害,性機能障害が問題となる.放射線治療では晩発性の障害や2 次発癌のリスクも若年者においては考慮されるべきである.






The Journal of Urology
Volume 177, Issue 6, June 2007, Pages 2106-2131

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doi:10.1016/j.juro.2007.03.003 | How to Cite or Link Using DOI
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Adult urology
Guideline for the Management of Clinically Localized Prostate Cancer: 2007 Update



Treatment of the High-Risk Patient Option. Although active surveillance, interstitial prostate brachytherapy, EBRT, and RP are options for the management of patients with high-risk localized prostate cancer, recurrence rates are high.
[Based on review of the data.]
Standard. When counseling patients regarding treatment options, physicians should consider the following:
● Based on outcomes of one RCT, when WW and RP are compared, RP may be associated with a lower risk of cancer recurrence, cancer-related death, and improved survival;10
● Based on results of two RCTs, the use of adjuvant and concurrent hormonal therapy may prolong survival in the patient who has opted for radiotherapy.11,14
[Based on review of the data.]
Standard. High-risk patients who are considering specific treatment options should be informed
of findings of recent high-quality clinical trials, including that:
● When compared with WW, RP may lower the risk of cancer recurrence and improve survival;
10 and
● For those considering EBRT, use of hormonal therapy combined with conventional radiotherapy
may prolong survival.11,14
[Based on review of the data.]
Active surveillance, interstitial prostate brachytherapy, EBRT, and surgery remain treatment options for the patient with high-risk disease due to the lack of evidence of superiority of one therapy over another. Despite the lack of highquality evidence of treatment benefit among these patients, a high risk of disease progression and death from disease may make active treatment a preferred option. Treatments chosen for high-risk patients (non-nerve-sparing prostatectomy, higher dose radiation, or a combination of radiation and hormonal therapy) are all associated with a high risk of ED.



http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_1073.html

高リスクの前立腺がんに高線量率組織内照射治療は安全で有用

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 前立腺がんに対する放射線療法の一つである、高線量率組織内照射(HDR-BT)治療は、高リスクの限局性前立腺がんにおいて安全で有用であることが確認された。川崎医科大学泌尿器科放射線科のグループがまとめた治療成績によるもので、4月16日〜19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会で発表された。

 HDR-BTは前立腺イリジウム線源を通すアプリケーター針を刺して、集中的に放射線を照射する組織内照射法。以前は施術に2日間を要していたが、川崎医科大学などでは現在は6時間に短縮しているという。 対象は、限局性前立腺がんの高リスク群で、初回治療として外照射とHDR-BT治療を併用し、3年以上の経過観察が可能だった152人。高リスク群は、T3以上、もしくはグリーソンスコア8以上、もしくはPSA値20ng/mL以上とした。年齢中央値は70歳(48〜82歳)、観察期間中央値は4.4年(3〜11年)だった。高リスク群全体の5年PSA非再発生存率は82%だった。高リスク群を治療前のPSA値で分けたところ、10ng/mL未満では91%、10 ng/mL以上20ng/mL未満では84%、20ng/mL以上では78%と、PSA値が5年PSA非再発生存率に影響することが示された。

 グレード3以上の治療関連有害事象はなく、晩期の有害事象としてグレード2の尿道狭窄が15%に認められた。この尿道狭窄は前立腺の浮腫を原因とするもので、泌尿器科の常義政氏によれば、施術時間が短縮された現在ではほとんど見られなくなっているという。また放射線科の平塚純一氏は、「HDR-BTの今後は、高リスク例をどれだけ治せるかにかかっていると思う」とし、「低リスク例に対しては、低線量率線源のLDR-BTだけで十分で、患者さんの負担も少ない」とも話した。


(八倉巻 尚子=医学ライター)





http://www.uro.med.tohoku.ac.jp/patient_info/seiseki06.html



http://www.uro.med.tohoku.ac.jp/patient_info/seiseki02.html
 癌が摘出されるとPSAは測定限界以下になります。経過中にPSAが上昇してきた場合は再発の疑いが出てきます(これをPSA再発と呼びます)。このような場合でも通常、症状はありませんが、追加治療の必要性について検討します。 

 治療成績は、リスク群や癌の進展度に応じて異なります。リスク分類に関係なく、摘出前立腺の病理組織検査で癌が前立腺に限局している場合は、術後5年のPSA非再発率(根治率)は90%以上です。

  以下に2002年〜2009年に東北大学で施行された根治術の治療成績を示します(約400症例)。


高リスクは60ヵ月後のPSA非再発率は60%程度@東北大学
(ホームページにはグラフが掲載されている)