坪田一男 理系のための人生設計ガイド

 研究者としてやっていくことになったときに、お金のことを考える、他の分野・業界の人と知り合いになる、自分のインフラを考えるといったことは、すべて梅田さんの言う「けものみち力」だ。理系の研究者の人として「けものみち力」をつけることを考えながら過ごす、残りの学部生時代を送りたい。


茂木健一郎
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u127.html
一部要約して引用。

物事の原理を理論的に美しく解明したいと考える立場(ロマンティックな研究態度)が脅かされている。
あたかも巨大な荒地をブルドーザーが整地するような「ロマンティックではないアプローチ」によって、私たちの世代が想像すらできなかったような「知の基盤」が整備される。その基盤に圧倒され飲み込まれていくのか、その基盤の上に豊穣な知を生み出していけるのか。科学者のみならず、現代を生きる私たち一人ひとりが真剣に考えなければならない問題なのである。

自分は、茂木さんの言っているこの部分の話をあまりつかみきれていない気がする。
それでも生命科学の分野の研究で感じることがある。一つの遺伝子のクローニングだけで博士号がとれた時代はとうに終った。今は高速シークエンサー(とにかくたくさんのものを早く読める)、網羅的解析(gene chipを中心としたもの)、高速計算機(多くのスパコン)がある。
例えば分子生物学の研究者はその要素還元主義のやり方で今後もいくとどうなるのか?2万5千の遺伝子と、その数倍以上のproteomeやそれらを統合するinteractomeのデータ上の基盤ががっちりできてきたら、いつの間にか「データベースが補助的なもの」という状態から「データベースが中心、研究者はその足りない部分を調べる人」みたいになってしまうのだろうか?
「解き明かした」とはどういうことをいうことになるのだろうか?
研究者の仕事は、データベースに基づいたシュミレーションをコンピュータにやらせる人になってしまうの?いったい生命現象を解き明かすってなに?

シュミレーションが完璧になったとすれば、医療の世界である患者が来たときにある程度以上の情報量が得られれば、その患者の最適な治療がわかるようになる可能性があるのはよいとして、予後まで分かってしまうなんてこともあるかもしれない。そうなったときに研究者、医者のやれることって何だろう?


http://www.mizuho-ir.co.jp/meme/200302/system.html
シュミレーションと実際の実験系(なまものを扱うっ意味で)を組み合わせながら解き明かすっていう方法論は、北野宏明氏のシステム・バイオロジーの取り組み方だとして、どういう形に完成形が見えるのだろう??